はじめに |
伊勢神宮歴史探訪 |
今年、伊勢神宮は二十年に一度の式年遷宮の年を迎えて、遷宮記念館も完成し、参道の鳥居や社殿の造営が進み、遷宮祭のクライマックス「遷御」を迎えようとしていた。そんな中、神宮参道の巨木巡礼では、予想にたがわず長い歴史を重ねた立派な神宮杉と出合うことができた。伊勢神宮の社殿の神明造は、古代の穀倉の形式から発展したといわれ、王子遺跡集落遺構で発見された棟持柱との共通性を認識し、王子集落遺構に見られる「棟持柱」を検証するいいい機会になった。
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探訪視点 |
○伊勢神宮とは ○伊勢神宮参道 巨木巡礼 ○神宮の唯一神明造と棟持柱の秘密
○境内鶏の秘密 ○王子遺跡棟持柱考察と記事
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伊勢神宮とは |
伊勢神宮と式年遷宮 |
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伊勢神宮とは、豊受大御神を祀る「外宮」と天照大御神を祀る「内宮」を中心とした125社の総称である。,伊勢神宮の正式名称は地名の付かない「神宮」(じんぐう)。他の神宮と区別するため「伊勢の神宮」と呼ぶこともあり、親しみを込めて「お伊勢さん」「大神宮さん」とも称される。今年、伊勢神宮は二十年に一度の式年遷宮を迎えて遷宮記念館も完成し、参道の鳥居や社殿の造営が進んでいた。式年遷宮とは、20年に一度、正殿を始め、御垣内の建物全てを建て替える大祭だ。 |
伊勢神宮外宮 |
外宮 |
伊勢神宮外宮 御正宮 |
五十鈴川の畔に内宮が鎮座してから481年後、丹波の国から食事を司る神として迎えられたのが外宮で豊受大御神を祀る。古木が茂る森に覆われた宮域には、御正宮のほか3つの別宮と10の摂社・末社・所管社が点在していた。 |
伊勢神宮外宮 御正宮 2013/09/19 |
伊勢神宮内宮 |
内宮 |
伊勢神宮内宮 御正宮 |
外宮の南東約5kmの五十鈴川畔に佇む内宮は、日本人の総氏神といわれる天照大御神を祀り、2000年以上の歴史を持ち、神宮125社の中で最高位のお宮とされる。 |
伊勢神宮内宮 御正宮 2013/09/19
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神宮巨木巡礼 |
伊勢神宮外宮・内宮の巨木たち |
外宮の清盛楠 |
清盛楠 |
清盛楠全景 |
伊勢神宮の外宮表参道火除橋を渡ると、参道右手に清盛楠が堂々と立っていた。平安時代末期の平清盛が勅使として外宮に参詣したとき、この木の枝が冠に触れたため怒って西側の枝を切らせたという伝承からこの名が付けられたという。台風で股裂きの苦難にあいながらも復活して元気な姿を見せる平成の清盛楠に拍手。 |
樹齢800年 幹周/9m、樹高/10mの堂々とした楠 |
清盛楠地上根部 |
地上部(正面) |
地上部(裏側) |
根元で二本になって立ち上がっているがこれは、1959年(昭和34年)の伊勢湾台風の被害で2本の株に分かれてしまったという。 |
清盛楠樹上部 |
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今もスクスクと成長を続ける平成の清盛楠
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神宮杉 |
参道の神宮杉 |
神宮杉とは |
参道に足を踏み入れると参道脇には樹齢数百年を超すと思われる杉の巨木が林立し、天を突くようにそびえ立ち、太古からの時間を感じた。これらの伊勢神宮敷地内にある巨木杉は神宮杉とよばれ、三重県はその神宮スギを県木と定めている。三重県のHP「三重の森林づくり」のページには、 「巨樹・古木林調査」(環境庁、昭和63年)で、内宮で胸高周囲10.04mもの巨大なスギが記録されている」と記されていたがどの木かは特定できなかった。 |
参道脇の神宮杉 |
天然林常緑樹の林床に木漏れ日浴びてスックと立ち上がる参道脇の杉の巨木 |
正殿鳥居前に立つ神宮杉 |
外宮正殿板垣前に生える杉の巨木 |
参道に林立する神宮杉 |
参道脇には杉の巨木が立ち並び、ときには参道の真ん中にも!幹に捲かれた竹製の保護材は、樹皮の補修と害虫からの保護のためで、杉の皮を持っていると長生きできるという俗信があったためはぎ取っていく人がいたのでそれを防ぎ、杉を保護する目的もあるという。 |
貫禄十分の双幹の神宮杉 |
堂々とした双幹の杉の巨木。神宮杉の各杉には特に名称なし。、日光社寺の双幹杉には「夫婦杉」の呼称があった。
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棟持柱検証 |
唯一神明造の伊勢神宮社殿を巡る |
伊勢神宮の唯一神明造の棟持柱の検証 |
王子遺跡は、鹿屋市王子町にある弥生時代中期の集落遺跡で棟持柱(むなもちばしら)を持つ建築様式の建物遺構が発見された。王子遺跡の棟持柱と似た建築様式が伊勢神宮神明造の建物に見られるという。これが、今回、「棟持柱」をキーワードにして伊勢神宮を探訪するきっかけのひとつになった |
神宮神明造 |
唯一神明造の伊勢神宮社殿巡り |
唯一神明造伊勢神宮の棟持柱社殿 |
棟持柱を持つ神明造造建築様式の神宮社殿は、同じ棟持柱を持つ王子遺跡掘立性建物と何らかの共通性があるのか。外宮と内宮の社殿を巡ることにした。 |
古代の穀倉の形式から発展したと推定される棟持柱を持つ神明造建築様式の社殿 (神宮内宮社殿 2013/9/19) |
唯一神明造 |
神宮の「唯一神明造」の建築様式とは |
唯一神明造の棟持柱 |
伊勢神宮の社殿の茅葺きの屋根は切妻・平入りで、柱は檜の素木を地中に埋める掘立式で、ほかの神社の神明造と区別して、「唯一神明造」と呼ばれていた。 |
棟持柱を持つ神宮の「唯一神明造」の構造 |
「内宮」と「外宮」で異なる神明造りの違い |
内宮と外宮で異なる 「唯一神明造」 |
棟持柱を持つ同じ「唯一神明造」でも下記の通り、内宮と外宮で異なる造りになっていた。 |
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外宮では、千木(ちぎ)の先端が地面に対して
垂直に切られる外削になっていた。 |
内宮では、千木(ちぎ)の先端が地面に対して
水平に切られる内削になっていた。 |
考察 |
伊勢神宮の唯一神明造の棟持柱と王子遺跡遺構棟持柱の考察と新聞記事 |
神宮の鶏の秘密 |
おもしろ発見「伊勢神宮の鶏たち」 |
伊勢神宮の鶏たち
小国鶏 |
伊勢神宮の放し飼いの鶏は神の遣いとされ、神鶏と呼ばれ、遷宮行事の際、「鶏鳴三声(ケイメイサンセイ)」という遷宮を象徴する大切な儀式があるのだという。日本神話の天の岩戸の場面で鶏が鳴き声を上げて、大神を迎えだし、闇を払い、再び光(太陽)を取り戻す役割を担ったことに由来するらしい。最新のニュース記事によると「全国の鶏の愛好者でつくる「神宮奉納鶏保存会」会員が育てた鶏三十羽を伊勢市の伊勢神宮内宮に奉納され、神様の使い「神鶏(しんけい)」として内宮で放し飼いにされた。奉納は今年で八回目で、白くて尾の長い小国鶏(しょうこくけい)四羽をかごに入れ、ゆっくりと神楽殿まで運んだ。この後、別に運んだチャボなどと合わせて参集殿前で放鳥した。」とある。(2013/06/11 【中日新聞】) |
白くて尾の長い小国鶏(雄) |
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外宮の勾玉池近くの休憩場所近くで見かけた神鶏たち
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このページは伊勢・志摩と奈良を巡る歴史探訪「伊勢神宮」編です。 二見浦へ |
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探訪日 2013/09/19 サ |