伊勢神宮歴史探訪
 伊勢神宮歴史探訪〜王子遺跡集落遺構の「棟持柱」と伊勢神宮の「唯一神明造」〜  
 王子遺跡棟持柱と神宮神明造の検証と考察
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 <王子遺跡遺構「棟持柱」と伊勢神宮「神明造」の検証と考察>
王子遺跡は、鹿屋市王子町にある弥生時代中期の集落遺跡で1981年からの発掘調査の結果,ベッド状の張り出しをもつ竪穴住居27,掘立柱建物跡14(棟持柱を有するもの6),溝2などが見つかった。史料館案内板によると、この建物の機能や用途は、穀物貯蔵用の高床式倉庫として使われたという考え方と、南洋諸島にみられる同様の構造を持つ建物と同じように住居や集会所としての機能を持つという説などがあるがいずれにしても、棟持柱(むなもちばしら)を持つ建築様式の遺構としては最も古く、建築物の発生、用途を探るうえできわめて貴重な資料だ。王子遺跡の棟持柱と似た建築様式が伊勢神宮神明造の建物に見られるという。今回、伊勢神宮を探訪する機会に恵まれ、「棟持柱」をキーワードにして神宮内の社殿を巡った。
伊勢神宮の社殿は、日本最古の建築様式を伝え、屋根は切妻(きりつま)、平入(ひらいり)で柱は、ヒノキの素木(しらき)を用い、素木を地中に埋める掘立式で他の神社の神明造と区別して唯一神明造とよばれていた。同じ棟持柱を持ち、柱を地中に埋める王子遺跡の掘立性建物とよく似ていた。このことは、単純に結論付けがたいが神宮の神明造も古代の高床式穀倉がルーツで、棟持柱を持つ王子遺跡の掘立柱建物も穀物貯蔵用の高床式倉庫として使われていたのではないかという思いを強くした。
今回の棟持柱を巡る伊勢神宮は、当地大隅地方の当時の地方と中央とのつながりや歴史・文化を検証・解明する手がかりの一歩になり、太古へのロマンと夢をふくらませてくれた。
 http://www.osumi.or.jp/sakata/ise/ouzimune1.JPG
王子遺跡史料館展示の棟持柱を持つ掘立柱建物。この建物は、柱の穴の間隔を三分の一に縮めて想像復元したもので船形の屋根を持ち、棟を支える棟持柱(むなもちばしら)が特徴である。
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神宮社殿の神明造は、古代の高床式倉庫から発展したのではないかと推測されているが社殿を巡ってみて神宮神明造の棟持柱の配置は、王子遺跡棟持柱と驚くほど似ていて王子遺跡の棟持柱と神宮神明造の棟持柱の類似性をはっきり確認することができた。このことは、神明造の歴史や建築様式を解明する手がかりのひとつになり、当地大隅地方の当時の地方と中央とのつながりや歴史・文化を検証・解明する手がかりの一歩になりそうだ。
 
棟持柱を持つ高床式の穀倉がルーツとされる神宮の「唯一神明造」
古代の穀倉の形式から発展したと推定される棟持柱を持つ神明造建築様式の社殿 
(神宮内宮社殿 
2013/9/19
 歴史探訪新聞記事
 
<王子遺跡史料館案内>
  王子遺跡は昭和55年に鹿屋バイパス工事中に発見され、翌56年から発掘調査された遺跡である。今からおよそ2000年前の弥生時代の遺跡で笠之原大地西端のシラス台地、標高70メートルに位置する。発見された地名、王子町から王子遺跡と名付けられた。出土したものは竪穴式住居跡、掘立柱(ほったてばしら)住居跡、土器、石斧(せきふ)、石鏃(せきぞく)、鉄製品などである。発見された住居跡二基、その他出土品は王子遺跡資料館に展示されている。王子遺跡資料館は出土品を永く後生に伝えるため建設され、土器・鉄製品・住居跡など200点が保存展示されている。資料館のある場所は鹿屋市立図書館、文化会館の隣。 → 王子遺跡史料館
 
 王子遺跡史料館

王子遺跡史料館案内

所在地:〒
893-0007 鹿屋市北田町11110番地1

鹿屋市文化センター隣

開館時間:午前9時〜午後5

入館料: 無料