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迷鳥ナベヅルを追って 肝属川越冬のナベヅル

「命がある。ドラマがある。感動がある」

昨秋から鹿児島県大隅半島の肝属川中流域の中州で迷鳥と思われるナベヅル一羽が越冬し続けました。体長がまだ短く、生後1,2年の幼鳥と思われます。当地で越冬し続けているナベヅルの安全と渡去・北帰行確認、また越冬地の環境条件や越冬生態を明らかにするため毎日観察を続け、その日のツル情報を一口日記にして公開しました。
お知らせ;
肝属川上流域、川西の中州で越冬し続け、地元にあたたかい話題を与えてくれたナベヅル一羽がとうとう北帰行したようです。無事に北帰行してシベリアに帰り着くのを祈るのみです。今秋、ツルの帰巣本能で中州にまた戻って来て再会できるかもと思うと夢がふくらみます。振り返ってみると4ヶ月近くも一羽で狭い中州を餌場とねぐらにして無事に生活し続けたことが奇跡にも思えます。ナベヅルから色々な事を学びました。肝属川の環境や生き物の生態を考えるきっかけにもなりました。たった一羽にしろ肝属川流域の中州で初めて越冬し続けた事実はこれからの将来、肝属川流域や平野にナベヅルがやってきて越冬する可能性があります。夢と感動を与えてくれたナベヅル、ありがとう。みんなでナベヅルがまた今年の秋にやってくることを祈りましょう。2008・3・18
観察を終えて、一羽の迷鳥ナベヅルから学んだこと「ナベヅルとふるさとの川」

一口ナベヅル日記
3/17〜3/13 3/12〜2/26 2/25〜2/18 2/17〜2/7 2/6〜
3月17日(月)天気(晴れ) 中州上流域堤防よりで採餌中のナベヅルを確認。この日がナベヅル最後の確認の日となりました。

午後2時のナベヅル
堤防寄りの川の中で餌探しをしている今日のナベヅル
3月15日(土)天気(晴れ) 今日も最高気温20度を超えるポカポカの春日より。午後4時50分、中州上流域、川の中でナベヅルを確認。いつもガツガツ採餌しているナベヅルだが今日はのんびりと羽づくろいをして、休息している様子だった。

今日の中州とナベヅル 午後4時50分
中州上流域でのんびりと羽づくろいしているナベヅルを確認 
3月14日(金)天気(雨のち曇り) 昨夜未明から雨。春を呼ぶあたたかい雨が午前中まで残った。午後5時10分、中州堤防近くの田で採食しているナベヅルを確認。堤防を散歩の人が通っても全く平気な様子だ。

今日のナベヅル 午後5時10分
近くの田で採食しているナベヅルを確認。
3月13日(木)天気(晴れ) すっかり春の陽気。中州で自生している菜の花も満開だ。午前の観察でナベヅルは中州に咲いている菜の花の間で元気にエサをついばんでいた。
菜の花とナベヅル

今日のナベヅル  午前11時30分
自生している菜の花の咲く中州でエサをついばむナベヅル




MEMO;ナベヅルは、ツル科ツル属に分類される大型の鳥で国の特別天然記念物と環境省の絶滅危惧種に指定されています。くちばしの先からあしの先端までの長さが約100センチあり、翼を開いたときの翼の先から先までは、約180センチあります。くちばしと首、足が長く成鳥は額が黒、目の上が赤、頭から首が白、胴体は灰黒色をしています。シベリア南東部や中国北東部で繁殖し、冬は、朝鮮半島や日本で越冬する渡り鳥です。世界の個体数が約一万羽と推定されその約八割が鹿児島県出水市で越冬しています。かつては全国に生息し、親しまれた鳥ですが、現在は山口県周南市八代盆地と鹿児島県出水平野に飛来します。
大隅半島にも過去、迷鳥として各地に飛来したことは確認されていますが当地鹿屋で越冬するのは初めてではないかといわれています。中州のナベヅルはねぐらも餌場と同じ中州のようです。
ナベヅル飛翔@ 飛翔A  出水のツルを観察 中州のナベヅルとアオサギ ナベヅルとふるさとの川

中州餌場の環境:中州は役所下橋下流30m付近にあります。中州なので野犬等の外的に襲われる心配はありません。そのためか堤防を散歩する人や近くの橋を通行する自動車にも驚く様子はありません。中州全景

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