topタイトルで述べたように「鹿児島の方言」と一口にいっても「文法」「アクセント・音声・音韻」等の語法のちがいにより、
大きな地域差があります。
地域差による違い
標準語 | 薩摩・大隅 | 大隅東部 | 薩摩南部 |
赤い | あかか あけー |
あけー | あがが |
白い | しろか しれー |
しりー | しろが |
寒いね | さみなー | さみなー | さんかにー |
薩摩半島南部の開聞町、頴娃町あたりでは頴娃語は英語といわれるぐらい独特な特徴があるようです。次の三つの特徴があります。まず「濁音」がよく使われていることに気づくことでしょう。それから使い方による男女の差が少ないこと。もうひとつは独特の感嘆詞がつかわれることです。原因は九州薩摩半島南端にあり南方からの黒潮に乗った海の伝承の影響とも考えられます。薩摩半島南部の方言は東北弁に近いという人もいます。この地域は最も古い鹿児島弁が残っていると言われています。それだけに鹿児島弁を調べるのに研究価値の高い地域かと思われます。そこでもう少し揖宿郡頴娃町のお国ことばを紹介することにします。 |
揖宿郡頴娃町のお国ことばの一例 |
ミゴデ |
「マダ ミゴデ ケシッ ヂャッドナー。」 |
共通語:「またみごとな景色ですね。」 |
使い方:「ミゴデ」は、共通語の「みごと」にあたることばです。頴娃町では、ことばのとちゅうの「かきくけこ」「たちつてと」が「ガギグゲゴ」「ダヂヅデド」になるので「ミゴデ」となります。「ヂャッド」は、「そうだね」と相手にあいづちをうつときに使います。 |
PS:薩隅方言では「ミゴチ」とか「ミゴテ」と言います。マタ ミゴチ ケシッヤッドナー |
ホンノコヂ |
「コン ユオハ マダ イギッチョッド。」 「ホンノコヂ イマニモ トッカガックソナ フーヂャニ。」 |
共通語:「この魚は、まだいきているよ」 「ほんとうに今にも飛びかかってきそうにしているね。」 |
使い方:「ホンノコヂ」は「ほんとうに」の意味です。「ホンノコヂ ニュッカ」(ほんとうに暑い)などともいいます。 |
PS:薩隅方言では「ホンノコチ」と言います。「ホンノコチ ヌキムンジャ」 |
スンクジラ |
「オガ クッガ ナガゴッナッタ。」「ソゴン スンクジレ アラセンカ。」 |
共通語:「ぼくのくつがなくなった。」そこのすみっこにあるんじゃない。」 |
使い方:「クッ」は「くつ」のことです。鹿児島の方言では、ことばの最後が「クッ」とつまる音になることがよくあります。「口」も「首」も「靴」もみんな「クッ」といいます。「スンクジラ」は「すみっこ」ということです。 |
ガラユッ |
「コラ ジット セヂョランカ アバエ バッカイ セヂョット ソンウヂ ガラユッドネ。」 |
共通語:「こら、静かにしていないか。いたずらばっかりしていると、そのうちしかられるぞ。」 |
使い方:しかられることを「ガラユッ」といいます。「キニュハ ガラエダ」(きのうはしかられた)のように自分がしかられたときにもいいます。また、親が子どもをしかるときにも「ガラユッド!」といってしかります。 |
郷土の研究「方言を調べよう」(監修・佐藤亮一/指導・木部暢子)の図書文献から |
標準語訳から鹿児島方言の文例を考える |
標準語訳 | 魚とりに行こう。 魚のことを「イオ」とか「ユオ」と発音する |
方言訳1 | イオトイケ イッド |
方言訳2 | イオトイケ イコヤ |
方言訳3 | イオトイケ イッガー |
方言訳3 | イオトイケ イッモンソヤー(目上の人へのよびかけ) |
標準語訳 | 新鮮な魚はいりませんか。 |
方言訳1 | ブエンのイオはイランドカイ |
方言訳2 | ブエンのイオはイイモハンドカイ(上記よりていねい) ぶえん(無塩)の意で塩づけしていない新鮮な魚の意 |
標準語訳 | 台風がさったみたいに静かな様 |
方言訳 | ウカゼがヒットエタゴヤ |
以下文例データ収録中