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 韓国岳登山記 

動植物や大自然とのふれあい・大パノラマの絶景を楽しんだ韓国岳登山
韓国(からくに)岳は、霧島連山のほぼ中央にそびえる最高峰1700mの山で、鹿児島県霧島市、宮崎県えびの市、小林市の境界にまたがる。展望の良さと、四季の変化に富み、日本百名山の一つでもあり、たくさんの登山客が訪れる。登山道入り口付近は天然のアカマツやモミ・ツガ、山腹はミズナラやブナ、ノリウツギなどの低灌木林、山頂付近では地を這うようにミヤマキリシマの群落が見られる。運がよければ登山道で野生のシカやアサギマダラ等のめずらしい動物や昆虫と出合う。今回の韓国岳登山では、えびの高原からの登山コースを選択し、山道の自然観察をしながら、夏山の韓国岳登山を楽しんだ。山頂からの眺めは大パノラマの絶景で、山頂を吹き抜ける涼しい風が実に気持ちよい。登山道の道端に咲くノリウツギの純白の花々や登山道の道端に舞うアサギマダラのチョウが疲れた身体を癒してくれた。
山頂を目指す  山腹・山頂からの眺め  登山道で舞うアサギマダラ  ニホンシカ  登山道の草花

韓国岳山頂1700m   探訪登頂日2010年8月26日
韓国岳噴火口(直径約800m、深さ300m、火口底直径150m)は爆裂(ばくれつ)火口によりできたもので、山頂はこの火口東側の断崖絶壁にある。火口湖はないが今年は雨量が多かったせいか火口湖が出現していた。
爆裂火口爆発的な噴火によって火山帯の一部が破壊されて吹き飛ばされ、そこに新たにできた火口。

えびの高原から山頂を目指す
韓国岳へのコースはいくつかあるが、今回の韓国岳登山は、えびの高原からの登山コースを選択した。
えびの高原登山口から登頂開始。ガレ場と石段を登り、登山道入り口を目指す。
韓国岳登山道入り口案内板と樹林帯の涸れ沢
一合目案内標識(山頂まで1.7km)一合目から階段状の本格的な登りが続く

一合目樹林内はノリウツギ、ミズナラなどの低灌木林が続く。今回、偶然に野生シカと出合った。
二合目標識(山頂まで1.5km) 三合目標識(山頂まで1.3km)
三合目あたりまで登ると少しずつ視界が開ける。登山跡を振り返り硫黄山や白鳥山の遠景を楽しみながら登る。

四合目案内標識(山頂まで1.2km)

五合目案内標識(山頂まで0.9km)
五合目まで約50分、スローペースで約一時間。五合目広場の休憩ポイントで一息、展望所から眼下の高原一帯の風景や白鳥山・火口湖の遠景を楽しむ。

六合目案内標識(山頂まで0.6km)

八合目案内標識(山頂まで0.3km)
五合目から六合目までは約20分、足場はそんなに悪くないが結構長く感じる距離だ。七合目標識はない。六合目から八合目まで約10分。大浪池の視界が目に入るようになる。
八合目からは勾配もゆるくなり、大パノラマの展望が開け始める。左下に爆裂火口を望みながら、山頂を目指す。
山腹・山頂からの眺望風景

三合目を過ぎると視界が開け、硫黄山や白鳥山の遠景を楽しみながら登る。

四合目付近山腹からの眺望。硫黄山を中心に左が白鳥山、右が台形の形をした甑岳。

五合目山腹からの眺望。左にえびの高原、バックに白鳥山、右端に不動池、硫黄山を望む。

八合目山腹から大浪池の眺望

山頂付近から大浪池の眺望

山頂から雲間に新燃岳、高千穂峰を眺望

山頂付近から眼下に瀑裂火口(韓国岳噴火口)を望む。恐る恐る身を乗り出して撮影、かなりの恐怖心を覚えた。

登山道に舞うアサギマダラ
今回偶然、韓国岳登山道に舞うアサギマダラと出合うことができた。(下記注)

宙を舞うアサギマダラ

地表を舞うアサギマダラ
偶然、登山道で出合ったアサギマダラ
2合目付近樹林内の登山道を舞うアサギマダラ成虫

登山道脇の花に止まり、吸蜜するアサギマダラ♂

登山道脇に群生するツクシコウモリソウの花とアサギマダラ

(注)アサギマダラの成虫は1年のうちに、日本本土と南西諸島、台湾の間を往復し、標高の高い山地に多く生息することで知られている。移動の研究のため捕獲した成虫の翅の半透明部分の部分に捕獲場所・年月日・連絡先などをマジックインキで記入(マーキング)し、放蝶するという方法で個体識別が行われる。

登山道で出合ったニホンシカ
登山途中、山道脇の樹林内にニホンシカを発見。近年霧島山系でもニホンシカによるノリウツギやドウダンツツジ等の樹皮の食害が報告されている。シカとの出会いは自然の生態系を考えるきっかけともなった。
登山道樹林内で見かけたニホンシカ

シカの食害と思われる樹林内の木

登山道で出合った草花
5月中旬から6月初旬はミヤマキリシマが一面に咲き乱れ、登山客で賑わうが夏山の登山道はノリウツギの純白な花やアザミ等の草花が訪れる人の目を楽しませてくれる。
登山道沿いに咲くノリウツギ

アジサイ科アジサイ属の落葉低木「ノリウツギ」
登山道山腹に咲くアザミ
登山道脇に群生するツクシコウモリソウ

秋の知らせを告げる山頂付近のススキの穂

追記;韓国岳(からくにだけ)の名の由来については諸説あり、山頂から韓国が見えるとの言い伝えによる説が信じられている。実際、頂から韓国の地が見える訳ではないが非常に遠い所まで見渡せ、眺めが絶景ということだろう。火山体は軽石の堆積した軽石丘であり、比高約500mで直径800mの大火口を有する。山麓には溶岩流が分布している。岩石は輝石安山岩で、形成年代は2万2000年よりは新しいとされる。


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