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ケナフと環境教育

実践を通して(11年度の実践から)

 ケナフは筋書きのないドラマを創り、総合的な学習発展への可能性を秘めたおもしろい素材であった。
種を一粒一粒手に持ち、種の観察からスタートした。場所と人数の関係で一人一本の苗を移植して裏校庭のフェンスに沿って植えた。町の学校で日頃子供たちは土にふれる機会が少ないので、除草などケナフの世話が出来るか心配していたがそれも取り越し苦労だった。子供たちは積極的にケナフの観察活動や除草などの世話活動に取り組んだ。
途中台風に出会いほとんど倒れてしまったが土よせして茎を起こし竹で支柱をしたら元気に回復した。
花が咲き始めた9月になるとケナフ園へ足を運ぶ回数も多くなった。そのころになるとキャタツを使っての観察となった。重いキャタツをいちいち運んでの観察は大変だったが子供たちはキャタツの上部に乗り成長したケナフを誇らしげに観察していた。
11月になるとケナフの葉も緑をなくし葉の枚数も少なくなってきた。ノコで刈り取り収穫してその場でレッチング用に皮をはいで水につける作業をした。紙すきの学習だけでなく、工作、ケナフ肥料の実験、ケナフ発表会等色々なことにチャレンジし新しい発見をした。
何よりも励みになったのはホームページでの情報発信と他校との交流だった。
2月に入ると学研から取材の申し入れがあり受けることになった。特集で紹介された記事を見て子供たちは大喜びだった。
「5年生になってもケナフを育てようよ。」「家から古新聞を持ってきてリサイクルしようよ。」子供たちのケナフに対する熱いおもいと元気な声が今も耳から離れない。

次年度へ向けて、ケナフこれからの課題と展望

 ケナフは地球温暖化防止に歯止めをかける救世主として注目され、木材パルプに代わる非木材紙の原料としてまた、森林保全に役立つとして色々な実践が報告されている。ケナフを使った紙すき体験などこれから予想される総合的な学習への発展へも十分期待される素材である。このことはweb上での色々な団体や学校、個人レベルでの取り組みの実践の情報からも理解できるところである。ところがいくつかの課題も気づいたので敢えてこの項を作成した次第である。課題をはっきりさせ解決しようと努力することにより次の新たな運動と展望が開けてくると確信するからである。
 課題の一番目は栽培したあとのケナフの始末である。たくさん植えすぎて始末に困ったという話をよく聞く。いわゆる集荷システムが整っていないことからくる問題である。広い畑だったらすき込んで始末するとか緑肥にする方法もあるが学校の敷地ではどうしようもない。図工の材料や木炭にも活用できるが全部利用するわけではない。そこで集荷システムが確立するまでは学校でケナフを栽培するときは二酸化炭素をよく吸収する植物だからといって大量に栽培するのでなく観察活動と紙すきができる程度の栽培でいいのでは。今後、この課題を解決するためにこれまでの実践やつみあげたデータをもとに栽培方法や集荷システム、商品化を考える必要がある。商品化に限っていえば一部事業所や企業で実際に商品化までこぎつけ販売ルートを確立している明るい展望が見えてきつつある。資源の開発としてのケナフ栽培の開発は、今後農家や広い敷地を持つ工場などが中心になると思われる。でも地域や学校で植えられたケナフも有効に活用される必要がある。そのためには地域から学校や福祉施設などに集積し、専門の会社か農協組織のようなところが回収、代価として学校の備品などに還元するベル マーク方式の形態の構築が考えられる。この形態が構築されたとき、環境、資源、地域と学校、農業など多くの問題を一度に解決することになり、それぞれの分野でのよい循環が始まる。
 解決したい2番目の課題は「ケナフは本当に地球にやさしい植物なのか?」「自然体系に影響を及ぼすことはないのか。?」・・等、ケナフに対する率直な疑問点に対する意識の問題である。自然の生態系を学習するいい機会である。
 ひまわりやコスモス(きく科一年草)は「人権の花」「やさしさ・おもいやり」を象徴する花として在来種と共存共栄し人々に親しまれている。ケナフも「環境を考える植物」としてみんなに認知され、ほかの植物と仲良く共存・共栄する日がくることを期待してやまない。
 ケナフは現段階では紙資源としての活用はコスト等の面から無理である。ケナフ紙の風合いを生かした紙すきや総合的な学習の素材として活用の可能性がある。また、環境問題を考える手がかりとして「牛乳パックの紙すき体験」「EM菌を使った堆肥づくり」「廃油を使った石鹸づくり」などこれまでにも色々な体験や実践活動が報告されている。こうした実践の積み重ねを生かしつつ「ケナフ」も環境を考える手がかりの素材の一つとして仲間に入れ活用できたらと思う。 

ケナフから学んだこと

ケナフは筋書きのないドラマを創るというか、子どもたちにとって夢が広がり総合的な学習発展への可能性を秘めたおもしろい素材でした。ケナフは森林や紙資源の大切さについて考えるきっかけを与えてくれました。
ケナフから学んだことを日々の生活の中で生かし、「資源のむだをやめる」「資源を再利用する」「資源をリサイクル」する等の意識の変革と実践への意欲向上へのつなげられたら幸いです。
環境を救うのは「ケナフ」でなく「自分たち一人一人の行動」である。
「ケナフ」はあくまでも環境のことを考える一つの素材である。
「ケナフ」を育て「地球によいことをやっている」その気分のよさが環境を考え、行動を起こす次のステップの力になるのでは。
ケナフはその力を与えてくれました。


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                                 by sakata
ケナフ収集システム案「夢、ケナフ」より