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カッパ(ゲンツドン)方言調査
調査のきっかけ
『鹿屋市に「カッパ」のことを「ゲンツドン」と言うことばが残る。たとえば鹿屋市田崎町でも使われており、その土地の古老に聞いても「昔から使われているのだが、その由来は知らないという。』・・・「鹿児島県のことば」(注)から
上記文章が「ゲンツドン」の方言検証・聞き取り調査をするきっかけとなった。田崎町は自分の出身校区で、確かに今も自分の記憶の中に「ゲンツドン」のことばが残る。そこで「カッパ呼名調査」と銘打って、方言調査をスタート。検証活動は田崎小学校の協力を得て、子ども達に対する聞き取り調査からスタートした。対象学年は六年生全児童、「ゲンツドン」のことばを使ったり聞いたりしたことがあるかをたずねると十数名の児童が挙手した。やはり現在も「ゲンツドン」のことばは残っているようだ。学校近くの商店主や床屋さん、古老達にもインタビューを試みた。・・・この検証・聞き取り調査の活動はMBCテレビの「ふるさとワンダフル」の番組で放送された。

活動風景
「カッパ」呼名調査隊出発 「ゲンツドン」がすむという池

聞き取り調査に入りる前に、方言の話やちゃわん虫を歌う。宮井さんのギターとセッション。

子どもたちへのインタビューと聞き取り調査風景
「ゲンツドン」考
その後の調査で「カッパ」を「ゲンツドン」と呼ぶ地域は高山の一部や大姶良など、田崎以外にもあることがわかった。財部町にはカッパを「シーゴドン」ということばが残る。「シーゴ」とは当地で「尻、肛門」のことであり、これはカッパは人の尻を抜くという俗信がうんだことばであろう。運動会で「最後」「最下位」は「ゲッツ」「ゲットン」とか「ドンケッ(ドン穴)」という。この「最後」は「尻」という意味があることから、おそらく「ゲンツドン」の「ゲンツ」もこの「尻」の意味からきたことばだと推察される。「ドン」は「殿」の意で高位の人への敬称で尊敬語が使われている。池で水遊びをしている子に「ゲンツドンがクッド(かっぱがくるよ)」といって、危ない水遊びをやめさせる。ここでは「ゲンツドン」が、いわば水神様、守り神として敬われて存在することになる。

映像編